(セミナーレポート)2026年度 第3回 アカデミア臨床開発セミナー

【第1部】AMRに挑む起業家精神:薬剤耐性菌問題への私たちの回答

【第2部】医学生から起業家へ― 薬剤耐性菌に挑むGramEyeの創業と、AIで変えるグラム染色検査

2026年度第3回アカデミア臨床開発セミナーをオンラインで開催しました。本セミナーでは、株式会社GramEye共同創業者である山田達也先生および平岡悠先生をお迎えし、「医療課題解決に向けた起業と社会実装」をテーマにご講演いただきました。

第1部では、山田達也先生より、薬剤耐性菌(AMR)対策に取り組むきっかけや学生時代からの活動、そして起業に至るまでの経緯についてご紹介いただきました。薬剤耐性菌は世界的な医療課題であり、将来的にはがんを上回る死亡原因となる可能性が指摘されています。山田先生は学生時代からこの課題に関心を持ち、複数のプロジェクトに挑戦したものの、継続性や社会実装の観点から多くの失敗も経験されました。その経験を通じて、「課題から出発すること」「まず形にしてみること」「継続性を意識すること」の重要性を学ばれたとのことでした。

その後、薬剤耐性菌対策につながるグラム染色検査の自動化に着目し、株式会社GramEyeを設立されました。開発初期には簡易なスケッチやモックアップでユーザーの意見を集め、助成金や資金調達を活用しながら製品開発を進めた経緯が説明されました。また、医療機器としての届出に至る過程を通じて、「不十分でもまず作ってみること」の重要であると述べられました。

第2部では、平岡悠先生より、共同創業者としての視点から事業化やグローバル展開についてご講演いただきました。先生は、薬剤耐性菌問題を気候変動と同様のグローバルリスクとして捉え、その解決にはデータの可視化や社会全体での仕組みづくりが必要であると説明されました。特に、細菌検査のデジタル化により感染症診療や抗菌薬適正使用を支援する仕組みの構築を目指していることが紹介されました。

また、同社が開発したグラム染色自動化装置「Mycrium」の導入状況や、国内外での事業展開についても説明がありました。現在は国内での導入拡大に加え、米国市場への展開も進めており、細菌検査領域のデジタル化を通じて薬剤耐性菌対策に貢献することを目指しているとのことでした。

講演を通じて、社会課題の解決を目指す研究開発においては、研究成果そのものだけでなく、実際に現場で使われる形へと発展させる視点が重要であることが強調されました。また、起業は特別な選択肢ではなく、社会課題解決のための一つの手段であり、その実現には仲間や支援者との協働が不可欠であることが示されました。

本セミナーは、研究成果の社会実装やアカデミア発スタートアップに関心を持つ研究者・医療従事者にとって、多くの示唆を得られる大変有意義な機会となりました。

次回のアカデミア臨床開発セミナーにつきましても、多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。

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