(セミナーレポート)2026年度 第1回 アカデミア臨床開発セミナー
人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針
2026年6月26日、令和8年度第1回アカデミア臨床開発セミナーをオンラインで開催しました。本セミナーでは、東京科学大学生命倫理センター生命倫理・臨床研究戦略推進室室長、ならびに厚生労働省医政局研究開発政策課臨床研究等技術参与の八百野恭子先生をお迎えし、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」をテーマにご講演いただきました。講演では、まず生命科学・医学系研究に関する倫理指針の概要について説明があり、適用範囲や用語の定義、個人情報保護法との関係、インフォームド・コンセント(IC)手続きなど、研究実施にあたって必要となる基本事項について解説いただきました。続いて、現在進められている倫理指針の見直しについて紹介があり、主に以下の内容について詳しく説明いただきました。
【主な見直し・改正のポイント】
・患者・市民参画(PPI)の考え方を基本方針へ含めること
・多機関共同研究における一括審査の推進および審査手続きの見直し
・試料・情報の収集・提供を行う機関の取扱いの明確化
・インフォームド・コンセント手続きの整理と見直し
・「適切な手続き」により取得された試料・情報の考え方の明確化
・既存試料・情報提供時の倫理審査の在り方の整理
・倫理審査委員会における迅速審査の対象拡大
・倫理審査委員会委員への教育・研修要件の強化
・一括審査を実施する際の留意事項の整理
・個人情報保護法見直しの動向と研究への影響
また、個人情報保護法の見直し動向についても紹介され、研究の円滑な推進と個人情報保護の両立に向けた議論が進められていることが説明されました。さらに、倫理指針が個人情報保護法改正に伴う部分改正を重ねて複雑化していることから、今後は研究者や倫理審査委員会にとって分かりやすい制度となるよう抜本的な見直しが検討されているとのことでした。
さらに、利益相反管理データベース(COI DB)の最新状況についてもご紹介いただきました。2026年4月にCOI DBがリリースされ、活用することで従来必要であった利益相反状況確認報告書(様式D)が不要となるなど、研究者および研究機関の事務負担軽減が期待されることが説明されました。
講演後には質疑応答の時間が設けられ、AI利用に関する倫理指針改正への対応、包括同意とオプトアウト、一括審査や研究者変更時の手続きなど、研究倫理の実務に関する多くの質問が寄せられました。八百野先生には制度の趣旨や実務上の留意点を交えながらご解説いただき、参加者にとって研究支援・研究実施の現場における理解を深める貴重な機会となりました。
生命科学・医学系研究に関する倫理指針は、研究の適正な実施と研究対象者の保護を両立させるための重要な基盤です。今回のセミナーは、今後予定されている指針改正や個人情報保護法改正の動向を理解し、研究現場での適切な対応について考える大変有意義な機会となりました。
次回のアカデミア臨床開発セミナーにつきましても、多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。



