(セミナーレポート)第3回 アカデミア臨床開発セミナー
知的財産に関する契約の重要性について
2024年9月20日、令和6年度の第3回アカデミア臨床開発セミナーをオンラインで開催しました。今回のセミナーでは、大阪大学共創機構イノベーション戦略部門知的財産室 植木靖之先生をお迎えし、「知的財産に関する契約の重要性について」と題してご講演いただきました。
まず、アカデミアにおける研究成果の種類について説明がありました。研究契約における研究成果と一括りに言っても、発明やノウハウ、臨床研究データなど7種類が存在します。研究契約の種類も様々あり、今回のセミナーでは秘密保持契約、共同研究契約、ライセンス契約、MTA、臨床研究データ移転契約と全5種類の契約仕様についてご紹介いただきました。最初に情報開示の段階で必要になる秘密保持契約では、注意すべきポイントとして、開示した情報がすべて秘密情報として取り扱われるわけではないため、秘密情報を開示する場合は何を秘密情報として守秘しなければならないのか書面で明示する必要があるとのことでした。また、共同研究においては得られた知財(特許)は、大阪大学単独発明であっても企業に選択権があり、大学の思惑通りにはできないことから、スタートアップを目指す場合や汎用性の高い技術を広く多数の企業で社会実装すべき場合などは共同研究によらない大阪大学単独発明が重要とのことでした。次に特許出願の意義についても説明がありました。様々な形態での社会実装を可能にするうえで特許出願が重要であるということが理解できました。そのほか、研究者にとって興味深い、契約時の対価設定についてもお話がありました。対価は契約一時金とロイヤリティの大きく2つに分けられます。発明者への還元は(発明者の貢献分+ロイヤリティ)の1/3になるとのことでした。今回のセミナーでは、研究者にとってあまり馴染みがない、契約や知的財産について少しでもハードルが下がるように、と事例も交えながらわかりやすくご説明いただき、参加者からは活発な質疑応答が行われ、盛況裏に終了しました。
次回のアカデミア臨床開発セミナーは2024年11月実施を予定しております。詳細が決まり次第、本ページにてご案内いたしますので、次回も沢山の皆さまのご参加をお待ちしております。