(セミナーレポート)第5回 アカデミア臨床開発セミナー

国際臨床研究をどう位置づけ、どう付き合うか
―日本におけるREMAP-CAPの実施―

2024年1月19日、第5回アカデミア臨床開発セミナーをオンラインで開催いたしました。
今回のセミナーでは、東京慈恵会医科大学心臓外科学講座講師 一原 直昭先生をお迎えし、「国際臨床研究をどう位置づけ、どう付き合うか―日本におけるREMAP-CAPの実施―」と題してご講演いただきました。

まずREMAP-CAP (Randomized Embedded Multifactorial Adaptive Platform Trial for Community Acquired Pneumonia)の概略について説明がありました。
REMAP-CAPは、25か国325施設が参加する臨床研究プラットフォームで、パンデミックにおける有効な治療法の意思決定に必要な臨床エビデンスを迅速に創出することを目的としているとのことでした。
また、2019年末からのコロナ禍では、革新的な適応試験デザインを使用して、臨床現場の複数の治療法を同時に効率的に評価し、最適な治療法に関する診療エビデンスを多数創出してきたとのことでした。

次にREMAP-CAPの設計上の特徴として、以下が挙げられるとのことでした。
・コアプロトコルを中心とするモジュール化されたプロトコルと常時稼働する臨床試験ネットワークによりパンデミックに対して迅速に対応できる点
・単一の被験者が複数の試験に同時参加できる多因子設計の採用
・症例数設定に伴うリスク・無駄を軽減できるベイズ統計の採用

また、REMAP-CAPの組織に関して、対等な協力体制を意識して構築された組織であり、臨床試験は各国に任され、ICH-GCPに準拠した最小限の共通プロトコルに基づき臨床現場で実施可能な形で実施されているとのことでした。
更に、施設・組入れ症例数が最も多い国は英国であり、CRN(Clinical Research Network)と呼ばれる既存の公的な臨床研究の支援基盤が活用されているとのことでした。

最後のまとめとして、広域連携の観点から、世界的趨勢の把握、研究者コミュニティへの参加、ノウハウ蓄積のための仕組み作りを平時から行うことが重要であり、また、感染症危機への対策としては、pragmaticな考えを含めた最適な試験設計や実施体制を準備していくことが必要であるとのことでした。

このように、今回のセミナーでは、一原先生から興味深いご講演をいただき、参加者からは活発な質疑応答が行われ、盛況裏に終了しました。

次回のアカデミア臨床開発セミナーは2024年2月9日(金)に、mk DUO合同会社 肘井 一也先生をお招きしてご講演頂く予定です。
次回も沢山の皆さまのご参加をお待ちしております。

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