(セミナーレポート)第4回 アカデミア臨床開発セミナー

アジアにおける神経発達症研究の国際コンソーシアムの構築

2023年12月8日、第4回アカデミア臨床開発セミナーをオンラインで開催いたしました。
今回のセミナーでは、神経発達症分野の第一線でご活躍されている大阪大学大学院連合小児発達学研究科准教授 橘 雅弥先生をお迎えし、アジアにおける神経発達症研究の国際コンソーシアムの構築と題してご講演いただきました。

まず、アジアにおける神経発達症研究の国際コンソーシアム構築の事業実施主体である大阪大学大学院連合小児発達学研究科についてご説明がありました。

次に、神経発達症に関するご説明があり、特に自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)に関しては、近年、発達障がいや虐待に関連する「こころの問題」が増加しており、その臨床像には遺伝・文化・社会等多様な因子が関わるため、グローバルな視点とドメスティックな視点の両方を勘案した解決策が必要であるとのことでした。

欧米との比較では、アジアではビッグデータ基盤の研究など、多施設共同の大規模研究に遅れがあること、また、現在臨床で用いられている評価法や介入法は、欧米で開発されたものであり、必ずしも日本やアジアの文化・社会的状況を反映していないという課題があり、アジア地域での連携が必要と考えるに至ったとのことでした。
こうした背景の中、文部科学省の支援事業への採択により、神経発達症研究コンソーシアムが構築され、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシアの各国を代表する医療機関と連携が開始されたとのことでした。

具体的には、神経発達症レジストリの構築、アジア各国版「睡眠質問票」の作成と妥当性検証、アジアに即したペアレントトレーニングの展開、学術交流、人材交流のための協定締結など、多様な視点での取組みが行われており、こうした研究活動を通して、国際比較により各国の特徴を明らかにするだけでなく、その成果をそれぞれの国において社会還元し、政策提言に結び付けることを目指しているとのことでした。

最後に、協力関係の構築維持のための工夫やアジアとの国際共同研究における課題についても述べられ、活発な質疑応答も行われセミナーは盛況裏に終了しました。

次回のアカデミア臨床開発セミナーは2024年1月19日(金)に、東京大学大学院 医学系研究科 医療品質評価学講座の一原 直昭先生をお招きしてご講演頂く予定です。
次回も沢山の皆さまのご参加をお待ちしております。

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