(セミナーレポート)第6回 アカデミア臨床開発セミナー

「医療機器の承認審査とプログラム医療機器について」

2022年2月4日、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の河野 典厚先生をお迎えし、第6回アカデミア臨床開発セミナーをオンラインで開催いたしました。
河野先生はこれまで厚生労働省、PMDAにおいて医薬品、医療機器の承認審査を始めとする幅広い業務に携わってこられ、今回のセミナーではその豊富なご経験に基づき「医療機器の承認審査とプログラム医療機器について」と題してご講演いただきました。

 

まず、「医療機器の特性と承認審査」について説明されました。
医療機器については、現場ニーズに合った研究開発、現場での改良と修正・最適化が極めて重要であり、技術革新のスピードが速く評価方法が確立していない点が医薬品と異なるとのことでした。

また、医療機器の承認審査においては、有効性・安全性に関するリスクとベネフィットのバランス評価が重要であり、医療機器を開発する際には、医療機器の臨床的位置付けが、治験の要否判断や治験の計画立案の際の試験デザイン等を決定する上で重要な要素になるとのことでした。

次に、「新型コロナ感染症への対応」について述べられました。
「機械器具等の治験計画届出件数」の年次推移のデータでは、新型コロナ感染症による大きな影響は認められていないとのことでした。
また、新型コロナ感染症の感染拡大に伴い人工呼吸器を含めた医療機器、体外診断用医薬品の需要が高まったことから、承認審査の迅速化、相談窓口の設置、人口呼吸器等の対応等に関する通知が発出され、必要な薬事手続きが優先的に最速で処理されるような取り組みがなされたとのことでした。

続いて、「プログラム医療機器について」説明されました。
プログラム医療機器は従来の医療機器とは異なる次世代の治療手段として期待されており、日本では2020年に禁煙治療に関する行動変容アプリが薬事承認されるなど実用化が進んでいるとのことでした。
また、プログラム医療機器の承認審査に関する政府の取り組みとして、DASH for SaMD(プログラム医療機器実用化推進パッケージ戦略)についての説明がありました。この戦略は、行政が先端的プログラム医療機器の萌芽的シーズを早期に把握し、審査の考え方を公表し、相談窓口を一元化し、プログラム医療機器の特性を踏まえた審査制度・体制を確立することによってプログラム医療機器の早期実用化を促進するために策定されたとのことでした。

最後に「ライフステージに応じた健康課題への取り組み」について述べられました。
今後の医療研究の方向性として、各ライフステージ特有の医療上の課題を意識して課題解決する「医療ソリューション」という新たな概念に基づいた取り組みが進められているとのことでした。
多くの疾患は生物学的要因に加え、環境要因、生活習慣等のリスクにより発症し、顕在化・重症化していくと考えられ、どのようなリスクがどのようなステージにおいて蓄積していくかについては現時点で不明な点が多く、そうした課題を抽出・整理し、医薬品だけでなくAI等の工学技術による予防なども含めた統合的な医療介入を行っていく必要があるとのことでした。

以上のとおり今回のセミナーでは、河野先生から医療機器及びプログラム医療機器についてわかりやすくご講演いただき、活発な質疑応答も行われ多数の参加者を得てセミナーは盛況裏に終了しました。

次回のアカデミア臨床開発セミナーは2022年3月11日(金)に、「臨床研究法と倫理指針の見直しについて」をテーマに厚生労働省医政局研究開発振興課の吉岡 恭子先生をお招きしてご講演頂く予定です。
次回も沢山の皆さまのご参加をお待ちしております。

第7回アカデミア臨床開発セミナーに関するご案内はこちらから。

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