<第1回セミナーレポート>小児領域における研究開発の動向

2019年5月24日(金)、最先端医療イノベーションセンター棟マルチメディアホールにて、医薬品医療機器総合機構(PMDA)より、山岸 義晃先生をお迎えし、「小児領域における研究開発の動向」のタイトルで、今年度第1回となる「アカデミア臨床開発セミナー」を開催いたしました。

はじめに、小児医薬品開発の現状と課題についてお話しいただきました。 海外、とくに欧州では小児領域の医薬品開発は大変厳しく、成人の開発過程において、第2相試験に入る前に、小児に対する開発計画の提出が法律で規定されています。一方、日本では、小児医薬品開発について、法的に義務付ける規制は現在も制定されていないため、臨床現場では、成人で使用する用量を小児の体重に換算して処方している現状をご教示いただきました。

そのような状況の中で、研究開発の課題を克服するためのポイントとして3つの項目をご提示いただきました:「症例数確保」「成人データの利用」そして「スタディデザインの工夫」です。症例数の確保のために、臨床試験ネットワークの活用、国際共同治験の実施、患者団体との連携が考慮されることや、成人データを利用することも考慮されると述べました。また、スタディーデザインの工夫として、バイオマーカーを用いた少人数の試験を設定することや、リアルワールドデータの活用も考慮しうるとご説明されました。

90分全体の講義の中では、小児・希少疾病に関して国内外の薬事規制・インセンティブの概要と開発戦略の動向について、詳細にお話しいただきました。事前案内の抄録内容に関心を引いたこと、また小児領域の研究開発に関するセミナーが今回初めてであったということもあり、当日は学内外から50名を超える多くの方にご参加をいただきました。

講義後の質疑応答では小児の希少疾患の治験実施体制に関する質問が多数あがり、それに対し先生は、患者会が担う役割や現在の日本のサポート体制について、実例紹介を交えながら詳しく回答くださいました。

ご参加の皆様は真剣にメモを取り、非常に熱心に聴講くださったのが、大変印象的でした。

今年度も、昨年度に引き続き、主に学内の研究者、学生、また学外の関係研究者の方々を対象に、「アカデミア発の医療技術の創出・国際共同臨床研究を目指し、開発に必要な知識を習得し、実用に応じた理解を深める」ことを目的とした有意義なセミナーを継続していく予定としております。ご興味がございましたら是非ご参加ください。

第2回のアカデミア臨床開発セミナーは、7月12日(金)に国立国際医療研究センター(NCGM)より飯山達雄先生をお招きして、同時間、同場所にて開催いたします。皆様奮ってご参加ください。

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