(セミナーレポート)2020年度 第1回アカデミア臨床開発セミナー
「医薬品開発における非臨床研究の重要性とPMの役割」

2020年6月19日、北海道大学病院臨床研究開発センター臨床開発コーディネーター 兼GMP室長 杉田修先生を講師にお迎えし、第1回アカデミア臨床開発セミナーを開催いたしました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で昨年度末からシンポジウムおよびセミナーなどが軒並み中止となるなか、マルチメディアホールでの対面開催にむけ準備を進めてきました。残念ながら一堂に会しての開催はかないませんでしたが、オンライン開催という新たな試みで75名もの方々にご参加いただきました。セミナーが無事終了したことを大変うれしく思います。

 

杉田先生には「医薬品開発における非臨床研究の重要性とPMの役割」というタイトルでご講演をいただきました。杉田先生は、北海道大学において橋渡し研究に10年間携わっておられ、ご自身の経験をもとにアカデミアにおける医薬品開発についてお話しいただきました。

まず、アカデミアでの研究開発支援は、対象となるシーズが多種多様で得意分野を育てることが困難であること、活動するうえで医薬品医療機器総合機構(PMDA)対応を含む専門知識が必要になること、人材、経験、資金などに大きく影響を受けることなど難しい面があり、さらにはガイドラインなどが予告なく変更されるため、限られた人材の中でいかにカバーしながら法律に則り進めていくかが課題となっていることを述べられました。

次に、非臨床研究にけるProject Manager(PM)の重要性について、企業での一般的な研究開発も含めご説明いただきました。PMに求められる資質は研究者、ステークホルダーなどとの連携、資金調達、時間管理など実務管理、将来性の模索など多岐にわたるため、必要な知識・経験を有する専門家にも参加させるなどチームビルディングが不可欠であることを強調されました。

更にシーズ分析についてTarget product profile (TPP)分析、SWOT分析など具体的にご説明いただき、ガントチャート、バッチスキャンシートなど活用できるツールについてご紹介いただきました。

最後に自然豊かな北海道大学のキャンパス内の写真とともに、「Proper Preparation Prevent Poor Performance」という先生がよく使われている言葉で講演を締めくくられました。研究開発を行っている研究者および研究開発を支援する研究者にとって、大変有益なご講演でした。

ご講演後の質疑応答では、グラント獲得の有無によるサポート体制の違い、プロジェクトの意思決定においてPMがPrincipal Investigator(PI)の信頼を獲得するための方法、限られた状況下で有効な開発の進め方など、すべての質問に丁寧にご回答いただきました。

アカデミア臨床開発セミナーは今年度も昨年度に引き続き、主に学内の研究者、学生、また学外の関係研究者の方々を対象に、「アカデミア発の医療技術の創出・国際共同臨床研究を目指し、開発に必要な知識を習得し、実用に応じた理解を深める」ことを目的とした有意義なセミナーを企画していく予定です。次回は8月開催を予定しています。開催日はまだ決定しておりませんが、決まりましたら当ホームページでご案内いたしますので、奮ってご参加いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

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