学術的発見から患者利益への橋渡し:11年に及ぶスタンフォード大プログラム“SPARK”の教訓

平成29年11月8日、大阪大学大学院医学系研究科 最先端医療イノベーションセンター マルチメディアホールにて、第102回未来医療セミナーを開催しました。講師としてスタンフォード大学よりDaria Mochly-Rosen先生をお迎えし、未来医療開発部長 西田幸二医師の進行で、「学術的発見から患者利益への橋渡し(Translating academic discovery to patients’ benefit):11年に及ぶスタンフォード大学での“SPARK”プログラムからの得た教訓(Lessons from our 11 years of experience at SPARK)」と題したご講演をいただきました。Mochly-Rosen先生は2006年に創設されたSPARKプログラムの共同ディレクターであり、現在休暇を利用し、京都に滞在していらっしゃいます。そこで急遽、本学にてSPARKプログラムをご紹介いただくことになりました。

冒頭、SPARKの使命の説明に続いて、「本セミナーは自分にとっても貴重な機会」と述べられるMochly-Rosen先生は、ひとつでも多くの研究開発成功事例を紹介したいという熱意あるご姿勢で、ご講演をいただき、参加者はみな、話に聞き入っていました。また、今回は先生が聴講者の皆様へ質問をなげかけ、その場でお答えいただくSPARK形式の参加型セミナーで進められました。国際共同臨床研究支援室が主催するセミナーでは、参加型セミナー形式の開催は非常に珍しいため、聴講者の皆様は一瞬ためらった様子ではありましたが、一人の方が発言くださった後には、会場の緊張した空気が和み、Mochly-Rosen先生にも笑顔が見られました。

講演の後半では、SPARKが成功した理由をいくつかのポイントに分けてご説明くださいました。その中の1つに、「Open exchange and no hierarchy」という言葉があり、従前の階層型の体制で支援を進めるのではなく、研究者も支援者もすべて上下関係なく、フラットな体制で研究開発を進める形式を採用していることがみなさんの心に残ったようで、講演終了後には、「No hierarchy, No hierarchy right?」という言葉と笑い声が四方八方から上がり、会場は大変盛り上がりました。

質疑応答では本院、未来医療センター・副センター長 岡田潔医師と、当支援室・室長の中谷大作より、相談窓口に寄せられたプロジェクトの取捨選択の方法や、支援開始後に止む無く打ち切りを決めるケースやその決定方法等、先生方が通常の業務で持たれている疑問が質問されました。それに対しMochly-Rosen先生から、“アメリカ式”に「良い質問ね!」とお褒めの言葉を頂いた後に明確にご回答をいただき、聴講者の方々は熱心に聞き入っていらっしゃいました。

最後に、Mochly-Rosenは何故、大阪大学でのSPARKプログラム実践が大切であり、また可能であるかを話され、ご講演は終了となりました。今回は、講演内での質疑応答時間が大変限られていたこともあり、ご講演終了直後には先生のもとに、学生、研究員、そして研修医の先生方が、質問や賞賛のコメントを伝えるため、入れ代わり立ち代わり訪れ、先生は一人一人に笑顔で丁寧に対応されていました。

最後は日本語で、「ありがとう!」と手を振って帰路につかれました。先生と聴講者との素敵な交流の場所になった一時間でした。

スタンフォード大学のSPARKプログラムに関しては、以下からご確認いただけます。

http://med.stanford.edu/sparkmed/about.html

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