(セミナーレポート)第7回 アカデミア臨床開発セミナー

「臨床研究法と倫理指針の見直しについて」

2022年3月11日、厚生労働省医政局研究開発振興課より吉岡恭子先生をお迎えし、第7回アカデミア臨床開発セミナーをオンラインで開催いたしました。

吉岡先生は、これまで「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(以下「倫理指針」)の策定及び見直しに携わってこられました。その幅広いご経験から、今回のセミナーでは、臨床研究法及び倫理指針の見直しの概要についてご講演頂きました。

まず、臨床研究法の見直しについて説明されました。
臨床研究法は、施行五年以内に運用の状況を鑑みて見直しをすることが定められており、2021年1月から厚生科学審議会臨床研究部会において検討が開始され、2021年12月には、「臨床研究法施行5年後の見直しに係る検討の中間とりまとめ」が公表されたとのことでした。

また、このとりまとめでは、臨床研究法の見直しについて、1) 臨床研究実施体制の国際整合性、2) 臨床研究法への該当性の明確化、3) 手続きの合理化、4)透明性の確保、5) 研究の質の確保の5つの論点について検討されたとのことでした。

次に、「個人情報保護法(個情報)の改正に伴う倫理指針の見直し」についてご説明がありました。

まず、個情報の改正について、令和2年改正では、1) 同意取得時の手続きの精緻化、2) 仮名加工情報の創設、3) 個人関連情報の第三者提供制限、4) 越境移転に係る情報提供の充実等の改正が行われたとのことでした。

続いて令和3年改正では、官民を通じた個人情報保護制度の見直しにより、全体の所管・内容が一元化(官民一元化)されたとのことでした。
また、医療分野・学術分野における規制統一のために、国公立病院、大学等は原則として民間企業、大学等と同等の規律が適用されることになり、それにより規律の不均衡が解消されるとのことでした。

更に、学術研究に係る適用除外規定については、これまで一律に適用除外であったのが、今後は義務ごとの例外規定が定められ、全体としては、学術研究であっても個情報が適用されることが前提となる点に留意しなければならないとのことでした。

最後に、個情法改正後の規程を踏まえた倫理指針の見直しについて述べられました。
倫理指針は、「生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議」において検討が行われ、2022年4月1日から改正倫理指針が施行されるとのことでした。

また、その主な改正点として、
1) 用語の定義の見直し
2) 指針の適用範囲の見直し
3) 個人情報の管理主体
4) インフォームド・コンセント(IC)を受ける手続等の見直し
5) 現行指針第9章の見直し
について説明があり、ポイントとしては、特に用語の定義が大きく変わっている点、また、ICに関する手続きが簡略化されている点等があり、それに対応する内規等の改訂、個情報に対応できる倫理委員会の体制整備が必要となってくるとのことでした。

以上のとおり今回のセミナーでは、吉岡先生から臨床研究法と倫理指針の見直しについてわかりやすくご講演いただき、活発な質疑応答も行われ多数の参加者を得てセミナーは盛況裏に終了しました。

次回のアカデミア臨床開発セミナーは2022年5月27日(金)に、「アカデミアにおける起業家育成」をテーマに大阪大学共創機構の北岡 康夫先生をお招きしてご講演頂く予定です。
次回も沢山の皆さまのご参加をお待ちしております。

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